河川の「浚渫」堆積土砂撤去、樹木伐採について(令和2年2月18日衆議院予算委員会)
○藤井委員
昨年は台風十五号、十九号、一昨年は七月豪雨ということで、河川氾濫等大規模な浸水被害が相次いでおります。河川改修が必要です。
私の地元西脇市は、平成十六年、台風二十三号で市街地の約半分が浸水するなど甚大な被害を受けました。同時に、加東市や小野市も被害を受けておりまして、現在、加古川の河川改修を行っていただいております。地元加東市では約百三十軒の立ち退きをお願いせねばならぬ大改修となっておりまして、立ち退きの軒数からは、東の八ツ場ダム、西の加古川という状況になっております。ありがたいことでございますけれども。
しかしながら、加古川自体は分水嶺、まさに日本海と瀬戸内海、太平洋を隔てる境目、分水嶺は海抜九十五メートルちょっとしかないです。標高百メートルに満たへんところから長い長い距離を経て海に注ぐんです。どこかで水がたまるんじゃないかと。そうなってくると、堤防を幾ら高くしてもというところがあります。ですから、やはりしゅんせつ、堆積土砂の撤去、樹木の伐採等が不可欠だと思います。
ただ、幾ら砂利をしゅんせつしても、またたまるじゃないか、木を切っても竹を切っても、また生えてくるじゃないかという御意見はあろうかと思いますけれども、一旦災害が起こったら、これは取り返しがつかないという形になります。
これは全国的にそういうことが言えるんだと思います。災害になったときの復旧費用も考えたら、河川改修とあわせて河川等のしゅんせつ、これが必要だと思いますけれども、これは全国共通であり、また、国が音頭をとらねばならぬと考えます、国民の命を守り抜くために。
国土交通省として、樹木伐採、河道掘削等をどう進められるのか、お伺いいたします。
○五道政府参考人
お答え申し上げます。
治水対策においては、河川の水位を低下させることが重要であり、河道掘削、樹木伐採は水位を下げる有効な手法の一つとしてこれまでも実施してきたところでございます。
このような中、平成三十年七月豪雨災害等を契機に実施している防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策において、河道掘削、樹木伐採について重点的に取り組んでいるところでございます。
また、昨年の台風第十九号等により甚大な被害が発生したことを踏まえ、今年度の補正予算でも、河道掘削、樹木伐採、堤防整備等により河道断面を確保する対策を更に加速してまいります。
国土交通省といたしましては、ダムや遊水地によりできるだけ下流に水を流さないようにするとともに、計画的に掘削等の河道整備を推進し、流域全体での治水対策に取り組んでまいります。
○藤井委員
ありがとうございます。
防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策ということで、全国の河川において樹木伐採、掘削等を実施していただけるということでございます。
しかしながら、これは三カ年緊急対策ということで、令和二年度、二〇二〇年度が最後ということになるのであれば、これはちょっと十分な効果が得られないのではないかと思います。五年、十年と腰を据えて取り組む必要があるのではないか、ぜひ延長をしていただきたい、これを要望させていただきたいと思います。
次に、この樹木伐採、掘削等、緊急三カ年は、国管理の約百四十の河川、都道府県等管理の約二千二百の河川を対象に行われるということでございますけれども、現場からは、やはり順番回ってこんのちゃうかと、また、大河川に注ぎ込む小河川とかが必要なんじゃないかと。どれぐらい雨が降ったらどこが危ないかというのは地元が一番わかっているので、そうした箇所の樹木伐採、掘削等を自主的、主体的に行えないかという声を聞いております。
このたび、河川等のしゅんせつについて、地方自治体が単独事業として行う緊急浚渫推進事業が、令和二年度予算、地方財政計画に盛り込まれています。この制度趣旨と活用に向けての自治体への周知について総務省にお伺いします。
○谷政府参考人
お答え申し上げます。
令和元年台風第十九号等の自然災害による大規模な河川氾濫等が相次ぐ中、維持管理のための河川等における堆積土砂の撤去や樹木の伐採が喫緊の課題となっております。
このため、地方団体が単独事業として緊急に河川等のしゅんせつを実施できるよう、令和二年度の地方財政計画に新たに緊急浚渫推進事業費を九百億円計上するとともに、その地方負担額に特例的に地方債を充当できるよう、地方財政法の改正案を今国会に提出しております。
具体的には、事業期間は令和二年度から令和六年度までの五年間、事業費は四千九百億円を予定しており、地方債の元利償還金の七〇%に交付税措置を講ずることとしております。
地方団体が来年度から本事業を活用して早期に河川等のしゅんせつを実施できるよう、本事業の趣旨や対象事業の詳細等につきまして総務省より地方団体にお示しし、周知をしており、今後も積極的な周知に努めてまいる考えでございます。
○藤井委員
ありがとうございます。
これは、本来、建設事業にしか認められない起債を維持管理と言ってもいいしゅんせつに認めていただける、画期的な政治判断なんですよね。また、これは、充当率が一〇〇%の、元利償還金への交付税措置率が七〇%と、過疎債並みなんですよ。
この手厚い地方財政措置、これはやはり各自治体さんによく知っていただく、周知していただく、そうしたら手を挙げるところがいっぱい出てくると思うんですよ。ぜひとも有効な活用をよろしくお願い申し上げたいと思います。