特定農産物地理的表示制度の法制化実現
6月18日(水)
「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案」が成立しました。
我が国には、地域の様々な特性に由来した品質等を備えた特徴ある産品が多数存在し、中にはその名称で原産地を特定できるようなものも存在します。
そのような産品の名称を、地域の共有財産(知的財産)として活用を図っていくことが不可欠です。
現状では、フリーライドや模倣の発生等により、ブランド価値を毀損し、生産者全体の利益の逸失につながるおそれがありました。
このたび、
①農林水産物等の特性を国が保証し、その名称(地理的表示)を登録
②フリーライド・模倣品(地理的表示の不正使用)を国が排除
③地域の生産者全体に地理的表示の使用を許容
する制度を法制化しました。
このことにより、
生産者利益(地域の知的財産)の保護(農林水産物等の適切な評価・財産的価値の維持向上)
需要者利益の保護(高付加価値の農林水産物等の信用の保護・需要の確保)
が図られることになります。
特に、神戸ビーフ、黒田庄和牛、兵庫県産山田錦の日本酒など、海外への輸出拡大を行うに当たっては、地域ブランドの保護・地域ブランドの維持・向上が不可欠であり、これを国が保証し、かつ、フリーライド・模倣品を国が排除する、ということは画期的なことです。
地域ブランドの保護、海外への輸出増進に向けて、全力を尽くしてまいります。
4月25日(金)
「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案」が閣議決定され、国会に提出されました。
2月26日(水)
予算委員会において、私から「地理的表示」の法制化について質問をさせていただき、今国会に法律案を提出する旨、農林水産省から答弁していただきました。
私からの質問と農林水産省の答弁は次のとおりです。
(質問)(抄)
フランス共和国では、「シャトー何がし」など、特定のシャトーでは1本ウン10万円という地域ブランドがあるが、日本酒でもそういう可能性があるのではないか。
「地理的表示」で、地域ブランドを育成、強化していく。
また、日本酒の場合は、原材料の酒米と、蔵元、酒造メーカーが異なっていたりする。そのような場合の地理的表示がどうなるのか。伺いたい。
(答弁)(抄)
地理的表示保護制度は、長年培われた特別の生産方法などにより高い品質と評価を獲得するに至った地域特産品については、その名称が生産地を特定するようなつながりが認められる場合に、これを地理的表示として保護することでブランドの価値を守り、生産者が本来得るべき利益を確保することを目指すもの。
農林水産省としては、食品及び農林水産物の地理的表示の保護制度の創設につき、今通常国会に所要の法案を提出すべく、検討を進めているところ。
地理的表示制度の対象となる品目は、生鮮品、加工品を問わず、消費者が直接手にとるような最終産品を想定しているところであるが、主として原材料として利用される産品であっても、その名称が生産地を特定するようなつながりが認められる場合には、本制度の対象とすることを考えているところ。
対象品目は、その産品の生産、製造、加工の一部がある地域で行われていれば足りる方向で検討しているところ。加工品については、登録されるためには、その生産の特性が生まれる生産過程が加工地において行われるかどうか、こういったことを登録される産品の特性と加工地との結びつきで判断することになると考えている。
したがって、原料の産地と加工品が離れている場合でも地理的表示の対象となりうるものと考えているところ。